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コメディアンの戦闘能力について

不思議な事件です。通常起こりえない……

しかし、笑いには、
自分より遥かに大きいものと戦う力があることを、
思い出させてくれました。

 
-------------------------------

 
Colbert2006080304_2スティーヴン・コルベアというコメディアンが、アメリカにいます。
政治的なジョークが得意で、最近は特に、
ブッシュ政権の褒め殺し芸で有名です。
Time誌の「全米で最も影響力のある100人」にも選ばれています。
雑誌「WIRED」の今月号の表紙にもなってますね。iPodをノコギリで切ってる

 
そんなコルベアを、一体全体何をどう間違えたのか、
ホワイトハウスは、ブッシュ大統領の晩餐会に招いてしまったのです!

しかもブッシュ大統領の隣の隣という、超VIP扱い。
当然スピーチも頼まれます。

 
 
コルベアにスピーチを頼んでしまったのです。

 
 
Colbert2006080301

コルベアは、自分のやるべき仕事をキッチリとこなしました。
詳しくは町山さんのブログを読んでいただければと思いますが、
ちょっとかいつまんだだけでも……

お話を始める前に、カクテルのお代わりが欲しい人はそれを隣の人に告げてください。
すぐにNSA(国家安全保障省)がいつものように盗聴して注文をお持ちします。
私は、国民をできるだけコントロールしない政府こそがいい政府だと考えます。
その意味でアメリカはイラクに素晴らしい政府を作りました。
(イラクの無政府状態をからかっている)
最近の世論調査で、ブッシュ大統領の支持率は
史上最低の32パーセントまで落ち込んでいることは知ってます。
しかし私も大統領も、世論調査なんか気にしません。
世論調査なんてものは「現実的」に考える連中を反映したデータにすぎません。
皆さんご存知のように、現実なんてものはリベラルのたわ言です。
私が言いたいのは、
ブッシュ大統領はこれで終わりじゃないということです。
こんなの大逆転の前の子守唄みたいなもんです。
『ロッキー』みたいなもんですよ。
今のブッシュ大統領はロッキーで、チャンピオンのアポロは……
彼以外の全世界です。
<中略>
ロッキーのように何度でも立ち上がります!
そして最後にロッキーは……
あ、結局勝てないんだっけな
私はこの大統領を支持します。
なぜなら彼は何かのために戦うからです。
それだけでなく何かの上に立ちもします
たとえばペルシャ湾の空母とか、911テロの瓦礫とか、
最近はハリケーンにやられた街の廃墟に立ちました。
彼の姿は、アメリカは何かされれば必ず反撃する、という意志を表明しています。
世界で最も強力なヤラセ写真によってね。
ブッシュ大統領の最も素晴らしいところは、決して信念を曲げないことです。
月曜日に信じたことを水曜日に変えたりしません。
火曜日にどんなことがあったとしてもです。
情勢がいくら変化しようと大統領は考えを決して改めません
こうして大統領のお側に立てて感動している私ですが、
会場を見渡すと、アメリカをダメにするリベラルなマスコミ人だらけで反吐が出ます。
いや、FOXニュースは違いますよ。
FOXニュースは両サイドの意見を報道しますから。
大統領の意見と副大統領の意見を。
しかし、ブッシュ大統領になってからの五年間、
ホワイトハウスの記者の皆さんはずっとイイ子ちゃんでした。
ブッシュ大統領の無茶な減税についても、
イラクに大量破壊兵器がなかったことについても、
野放しの地球温暖化についても、
記者会見であまり突っ込みませんでした。
それらは私たちアメリカ国民が知りたくないことですからね。
あなたがた記者の皆さんは、それを追求しないだけの節度がありますね。
本当に記者クラブは大統領と仲良くやってきました

と、よくぞここまで!と感嘆するばかりの、
全く手を抜かない徹底的な皮肉で、
ブッシュ大統領とその政権、
そして新聞やテレビ局からなる記者クラブを攻め立てたようです。

 
そして彼は、最後にビデオを流します。
その内容は、大統領報道官に扮したコルベアが、
ヘレン・トーマスという記者の、
イラク戦争の正当性に関する質問にタジタジとなる、
という内容でした。

ヘレン・トーマスは、堀部篤史さんによると、
57年間もホワイトハウスのレポートを続けていたにもかかわらず、
イラク戦争について批判を行ったために、
ブッシュによってホワイトハウスを追放されてしまったそうです。

 
Colbert2006080302ビデオ終了後、コルベアは、ヘレン・トーマスを紹介します。

ビデオだと、彼女は涙をぬぐっているように見えました
僕はそれを観て、今まで気づいてなかったことに、改めて気づきました。

このコメディアンは、
場をいい雰囲気にして適当にいい思いをすることより、
一人の老婆とその正義を守ることを優先したのだ、と。
彼は誰にも媚びず、自分が正しいと思ったことを、
しかし一方的に押し付けるのではなく、
笑いというパッケージで巧みに知的に包んだんだと。
そしてそれが彼の武器であり、彼はその武器で、
大統領とその取り巻きばかりの、圧倒的なアウェーで、
たった1人で、堂々と戦ったのだと。

そういう状況を全て込みで知っていてビデオを観ると、
さぞかし爽快で、心の底からスキッとするだろうなと。
 
Colbert2006080303スピーチが終わった後の彼の顔を見てください。
お笑い芸人の顔、というか、
むしろ戦った大人の男の顔、ですよね……

いやすごいなあ!
笑いに何ができるのか、その力を再確認しました。
日本のお笑いは、どうなんでしょうね?
最近はたまにテレビを見ると、
リズムに乗って小ネタを披露したり、
芸人同士で内輪ネタみたいなのをやったり、
みたいのが主流みたいですが、
きっと、観た瞬間に笑って忘れるだけじゃない、
そんなお笑いをする人もいるんでしょうね……

そういう人が、もっと表に出てこないかな……

そして……僕が元々、この「小鳥ピヨピヨ」をはじめた理由も、
アメリカの「戦うお笑いコラムニスト」、
マイク・ロイコのコラムが原因ではないですかそういえば。
かなり人のこと言えないですね……

 
なんてことをぼんやりと思いながら、結論は何も出ないまま。
ちなみにこのホワイトハウス事件は、ちょさかさんによると、
翌日、一切のテレビや新聞で放送されなかったとか。
たまたまとあるケーブル局で流れたのを誰かが発見し、
それからネットを通じて火のように広がっていったそうです。
元々この件を報道しなかったマスコミも、相当叩かれたとか。

 
あと、この件に関して言えば、
かような危険人物をついつい晩餐会に呼んでしまう、
ブッシュ政権も、かなりすごいですけどね。
その、うっかりさん加減が彼の最大の萌えであり、
人気の秘密なのかもしれないです。

 
 
America the Book: A Citizen's Guide To Democracy Inaction (Daily Show With Jon Stewart Presents) (CD)
Jon Stewart

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p.s.日本語訳がありました!

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コメント一覧

もしこれが小泉さんだったら、どんな対応をするのでしょうか?ヘレン・トーマスに自ら近寄って、ハグしたら凄いけどなぁ。

格好良いですな。まさに男です。
ナチスを風刺したチャップリンの、果敢で雄弁な喜劇をふと思い出しました。

ところで、弱い立場の人間を虐めて笑いを誘ったり、微妙なポジションからマイノリティーを皮肉ったりする今の日本のお笑いのシステムって、誰が笑うために作られたんでしょうかね?
やはりスポンサー様の趣向なのかな?エンタの神様とかリンカーンとか。あのしょうも無い人間が集まってワーワーやってりゃもしかしたら面白いかもみたいな雰囲気と言うのかな。
進んで泥を塗られることを厭わない汚れ芸人さんは、僕はカッコいいなって思うんですけどね。

この"America the Book"、めちゃめちゃ笑えます!
 
この本によると、日本の総理は
「ハロー・小泉純一郎」
で、キティちゃんの顔してます。

日本の芸人にたとえるなら、太田光がわりにちかい芸風なのかなぁー
と感じました。

こんにちは。隠れファンですが、感動して出てきました。
英語がよく聞き取れないけど、「彼は今、戦ってるんだな~」と思うと感無量です。
結構スベってるっぽいけど(^^;、あの場であれだけのスピーチができるなんて、英雄ですね。かっこ良すぎ…

太田光もそうだけど、浅草キッドももこのポジションでは有るよね。
ただ、太田光にしても浅草キッドにしても、毒をシニカルな切り口で吐くだけで、
ここまで成熟された、笑いの雄弁家までには至っていないから、これから頑張って欲しいなって思いますね。

吟遊奇人さん:
  ハグ&ダジャレ攻撃でしょうね

みさん:
  松本人志以降、ナンセンス系を極端に進化させる方向が主流になった、のですかねえ…

Lolaさん:
  へえ! 買ったので、届くの楽しみ!

てけてけさん:
  そうですね。ちょっと真っ直ぐすぎますけどね。

なまさん:
  そそ。
  アメリカにはこういう人がいるからすごいですよね。

コルベアにせよ、ジョンスチュワートにせよ、世界的に後ろ指さされるようなブッシュ政権を叩くその根本的な理由は、自分が生まれ、育ってきたアメリカという国をこころから愛しているが故の、歯痒さの表れであるように思います。母国が世界で恥を晒しているという事実を、自ら羞恥で胸をいっぱいにしながらも、さりげなく知的にコメディというかたちで国民に説き続けている彼らの真摯な態度に、いつも胸を打たれるおもいです。

わたしがいちばん心に残っているのは、911のテロの翌々日、スチュワートがデイリーショウの中で、泣きながらこのような事態に陥ったことへの憤りや祖国に対する思いを本気で語っていたことです。ヤラセ、売名行為に見えなかったのは、わたしだけではなかったはず。

↑上記のcorさんに同感です。
私はブッシュ政権とは考えを異にしますが、こういう人物を晩餐会に呼ぶだけの懐の深さがあることは認め、だからこそあの国は、まだ信じるに足りる人達の国だと改めて思いました。
こういう事が実現しない国(信じられない国)は世界中でいくつもあります。その点から考えると、日本ってどうなんだろう・・・(お笑い芸人のレベルではなく、国民のレベルで)

あと、マスコミの偏向報道に絶えうるメディアリテラシーが必要だと強く感じました。

ちなみに、私もAmerica the Book読みました。
笑いました。

何度も失礼します。

ブッシュ政権がコルベアを呼んだことに関しては、コルベアがもうすでにテレビの中のビッグマウスというくくりで扱うことで無視することが出来なくなってしまったからで、政権としては参加者のバランスを取るためにも彼に白羽の矢を立てざるを得なかったのでは。。。?目の前で自分への辛辣なジョークを繰り広げられたブッシュの顔、すごい微妙でしたね。

corさん:
  へー泣いていたんですか。
  「このような事態に陥ったことへの憤り」というのは、どこに対する憤りですか? テロリスト? ブッシュ政権?

やすさん:
  噂によると、よく事情が判らないまま、「ブッシュを褒める人」という情報だけで呼んだという話ですけどね…
  あるいはcorさんの推測が正しいかも。
  いずれにしろ、途中で中断させたりしないのは見事です。

いちるさん
ウチの国が世界にしていることは自慢できることじゃない、でもひとがひとの命を奪うということはいかなる場合でも許されることでないし、制裁を加えることで被害者や被害者の家族を貶めることができるなんて考えがまかり通ることは決してない、とか。テロリストに対する真摯な怒りであることに違いはないんですが、それがアメリカ人にありがちな、「オレさまの声がアメリカの声」的ナショナリズムでなく、あくまで知的な第三者役に自分をとどめて発言していたところがさすがだなーと。いまもyoutubeで探せばもしかして出てこないかなあ。

あともしあそこでブッシュがコルベアを中断させてたら、不支持率68%ぐらいじゃすまされませんしね。

>日本のお笑いは、どうなんでしょうね?

鳥肌実中将がいるじゃないか

>鳥肌実中将がいるじゃないか
右翼の大物から声がかかったけど、危うく気付いたのか
その後音沙汰が無いなんてネタあったな、そういえばw

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