孤独の岸辺:/1(その1) コンプレックス抱き、引きこもり - 毎日jp(毎日新聞)
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宮崎県延岡市。長屋の玄関を上がると、がらんとした6畳間で、うぐいす色のカーディガン姿の母の遺影がほほ笑む。この奥の3畳間に、息子(39)は25年間引きこもってきた。
生後まもなく父は病死。スーパーの総菜調理場で土日も休まず働いた母は定年後、1日の大半を6畳間でテレビを見て過ごした。母は息子のことを、誰にも相談できなかった。息子は母に、焦りや不安を打ち明けられなかった。二人はガラス戸1枚隔てたそれぞれの部屋で、沈黙を続けた。
8月、母が腎不全で入院した。息子が手を握ると、母は「私に勇気がなかったもんね」と告白した。「ごめんね」と謝ると、「そんなこと言わんでいい」。顔を背けた。9月、77歳で息を引き取った。
母の告白が息子の背を押した。支援団体に救いを求め、役所に生活保護を申請した。