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rose vol.1
「なあ、やっぱベッドに来いよ」
何度誘っても、ケイは首を縦に振らない。
「ぼくはいいです、寝袋で。ナオさんの部屋なんだから、ナオさんがベッドで寝てくださいよ」
確かにここは俺、斎藤ナオの部屋だが、院の研究を手伝ってくれた上に終電を逃した後輩を床で寝させるのは、良心が咎めるのだ。
春先とはいえ、まだ夜は冷える。ケイは線の細い顔をしているくせに、結構頑固なところがあるなと俺は妙なところで感心した。
「いや、やっぱ寒いからさ」
「大丈夫ですよ」
「バッカ、俺が寒いんだよ」
言うが早いか、俺はケイを抱え込み、一緒にベッドへ縺れ込んだ。
サラサラとした黒髪が鼻先をくすぐる。
「……やっぱ、狭いじゃないですか」
一言呟いた後、ケイは黙って目蓋を閉じた。
July 12, 2004 in rose_薔薇編 | 固定リンク
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