モテる男

昔、出会い系のサクラのバイトをしていた時のこと。
その日、僕はバイト後に飲みに行く予定でした。

参加者は全員正装というのが決まりの
飲み会だったため、僕は家から燕尾服とシルクハットを
持って来ていました。
ちょうどモノポリーのマスコットのオジサンのような
衣装です。

　
　

「いやいや、正装すぎるだろっ！」

　

・・・という、飲み会のツカミのひと笑いを
狙ったものでした。

　

　

会場がバイト先から近かったので、僕はシフト終了後、
バイト先でその衣装に着替え始めると・・・・
当然ながらバイト仲間たちの注目の的になりました。

　

　
＊　「え！？な、なんで着替えてるんですか！？」

＊　「な、なんすか！？その衣装！！」

　
　

僕は答えました。

　　
　

僕　「これからコンパなんだよね」

　

＊　「いやいや、どんだけ合コンに必死なんですか！！」

　
　
　

バイト先でもなかなかの反応、これは飲み会に向けて
気持ちに弾みがつくなぁ、と嬉しく感じながら
着替えていると、僕は家に蝶ネクタイを忘れて
来てしまったことに気がつきました。

まぁ、ドンキホーテにでも寄って買って行けば良いか、と
思ったのですが、とりあえず一同の注目を集めていたので
ここでひとボケと思い・・・・

　
　
　

僕　「いけね、蝶ネクタイ忘れて来ちゃったなぁ・・・
　
　　　ゴメンＭ君、蝶ネクタイ貸してくれない？」 

　
　

と、たまたま隣に座っていたバイト仲間のＭ君に
聞いてみると・・・・

　
　
　

Ｍ　「もう〜・・・・ 

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　　　ちゃんと返してくださいよ〜！？」　

　
　

・・・と、なんとカバンから蝶ネクタイを出して
僕に差し出したのですっ！！（爆）　

　
　

　
ええええぇええぇえええぇえぇ〜！？！？

　

な、な、なんで持ってるの！？！？

　
　

『蝶ネクタイ』ですよ！？

しかも、バイト先で！！

　
　

・・・もちろん、そんなユニフォームを着るような
バイトではありません（汗）

　
　

僕を筆頭に、そこに居た全員が度肝を抜かれました。　

　
　
　

・・・しかし、Ｍ君はそんな僕らの疑問には一切答えず、

　　
　

Ｍ　「ほんとに、ちゃんと返してくださいね！？」

　
　

＊　「お、お前、『何えもん』だよっ！！」　

　
　

Ｍ　「いやいや、『ドラえもん』しかいないですし、
　　　僕はドラえもんじゃないですから。
　　　ほんと、ちゃんと返してくださいよ？」

　

　
＊　「いや、『何次元ポケット』だよ！！」

　
　

Ｍ　「『４次元』しかないですし、ポケットじゃなくて
　　　リュックですから。
　　　明日、返せます？」　

　
　

・・・と、なぜか返してもらうことだけに
やたらとこだわっていました（汗）

　
　
　
　
　

お陰で僕は飲み会でも好評でした。

こんなにも簡単に奇跡を起こせるＭ君・・・・
コンパには行っていないけど、『持てる』男だなぁｗ