刺激ビリビリ(The Biribiri Fantasy)

日々、刺激を受けたことを書き綴っています

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『放送作家』と今年の抱負

きっと一般の方からすると放送作家って謎の職業ですよね。

軽くご説明しますと、主にテレビの新番組の企画書を書いたり、
担当するテレビ番組の企画案を出したり、番組の構成を考えたり、
台本を書いたり、出来上がったVTRにナレーション原稿を
書いたりする仕事です。

映画で言えば脚本家さんのような仕事でしょうか?

基本的に番組自体を作ってその内容に責任を持つのは
ディレクターさんなので、乱暴に言ってしまえば放送作家は
悩んでいるディレクターさんに口八丁手八丁で「これなら行ける!」と
自信を持たせてあげる係、と言えるかもしれません。

制作の現場に居ても厳密には外部の人間なのでどこか無責任で、
でもその外部ならではの無責任さと広い視野で番組作りを
お手伝いする、という不思議なポジションです。

なので、そこにはちょっと不思議な常識があったりします。
例えば・・・


『放送作家は大学をたとえ卒業していても中退していることにする』

大学に入る頭の良さはある、でも敷かれたレールには満足しない
どん欲さを持ち合わせている、という演出になるんですね。


他にも、


『基本的に、お洒落をしてはいけない』

マスメディアでモノ作りをする上で空気を読めるというのは
大切なことですが、「人目を気にしている」という風に
映ってしまうと損なんですよね。
つまらない人に見えてしまうんです。
さらに、「そんなところに気を使う余裕あるんだ?」
「暇なんだ?」「能力が無い作家なんだ?」という印象も
与えてしまいます。
「小汚いけど、なんだか自分なりのこだわりがありそう」というのが
最も作家として優れたファッションかもしれません。


まぁこれらはほんの一例ですが、放送作家ってこういう仕事なんだ
というのが少しでもピンと来てもらえたら幸いです。



さて先日、先輩作家のFさんとお話しさせていただく
機会がありました。

Fさんはもともと電通に勤めていたそうで、その後塾の講師を経て
放送作家になったという面白い経歴の方です。

とにかく驚いたのは、なんでもFさんは5〜6本に1本、
企画書が通るのだそうです!
つまり、Fさんが思いついた企画は5〜6に1本、
テレビ番組になって世に出ているんです!

これはものすごいことですよ!!
普通、番組の企画書なんて100本書いて1本通るか通らないか・・・
Fさんは野球で言うなら【9割打者】に匹敵するほどの
驚異的な打率です!!

そして、なぜそんなに企画書が通るのか?というFさんの
テクニックを教えていただいたのですが、ここでは紹介しませんが
どれもこれも感服するものばかりでした。
さすが、一流の会社で働いていた人はしっかりしているんですね。


放送作家のタイプには大きく分けて2タイプいます。

素っ頓狂な発想をポンポン出す『アイディア一発勝負型』。

逆に最初のアイディアはどこかから拾ってきて、それをどうすれば
テレビ番組にできるかを考える『しっかり頼りになる型』です。

Fさんは後者のエキスパートなんでしょうね。
本当に勉強になりました。



で、さらに気がついたことがありました。

僕は元々芸人をやっていて作家に転向したもので、
「裏方になるのだからしっかりしなくてはいけない」、
「お金をもらってモノ作りのお手伝いをするのだから
 芸人の気分のままではいけない」
「所詮芸人上がりかと思われたら、放送作家になる上で
 お世話になった人たちに失礼だ」という
変なノルマ感を持っていたことです。


つまり、無意識のうちに作家として『しっかり頼りになる型』を
目指してしまっていたのです・・・・


芸人上がりのくせにっ!!

芸人の中でもかなり自由で無責任でエキセントリックな
キャラだったくせにっ!!


いやはや、これは大きな間違いでした。
元・芸人という肩書きをまったく活かせていない上に、
明らかに能力的に不向きな方に自ら舵を取っていました。

中身は『アイディア一発勝負型』なのに一生懸命
『しっかり頼りになる型』に見えようとしていたため、
ちょっとエッジの効いたアイディアを出せば相手をキョトンと
させてしまうし、しっかり真面目に答えようとすれば
本当にしっかりした人と比べると全然大したことが言えていない、
という、完全に出口の無い迷路の中に居たのです!!

そんなところ、見栄を張る必要全然無かったんですね!
っていうかむしろ、大きな損をしていたんですね! 

なんでこんな簡単なことに今まで気がつかなかったんだろう?
僕は逆立ちしたってFさんのようなしっかりした仕事なんて
できないのにっ!!
Fさん、本当にありがとうございます!!!


今後はこれまでの姿勢を改め、自分らしさを前面に押し出して
見るからに「自由で無責任でエキセントリック」な作家を
目指したいと思います。
会う人会う人から「典型的な芸人上がりだね〜」と苦笑いして
もらえるような作家になることを2009年の豊富にしたいと
思います。

自分の間違いや欠点を認めることが成長であり、
老いでものだあるなぁ・・・としみじみ物思いにふける34歳、
皆様、今度とも宜しくお願いいたしますm(__)m

February 2, 2009 | 固定リンク | (このエントリーを含むはてなブックマーク)

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コメント

34才だったのね。私がもう少し若かったらほっときませんのに。

投稿者:m.senba at Feb 4, 2009 9:35:59 PM

最近はTさんの名前をテロップでよく見ます(^◇^)
と言うより、私が選んでそれ系の番組を見ています^_^;
早く、石舘さんの名前も見れるよう期待してます♪

投稿者:ま~ at Feb 10, 2009 10:32:56 AM

うんうん。
前向きなことはいいことだ。
ブログの更新も楽しみにしてます(^^)/

投稿者:サクラッチョ at Feb 10, 2009 10:28:48 PM

あれ?珍しくこんなにコメントがつくなんて(笑)


>m.senbaさん

もっと年配っぽい文章でした???
ぜひm.senbaさんの周りの女性に放っておかないよう
けしかけてくださいm(__)m


>サクラッチョさん

やっぱり真面目なことを書かないとコメントがつかないんですね。
前向きに頑張りますとも!
>ま〜さん

Tさん、売れてるみたいですね〜
西田君も頑張っているみたいだし、僕も頑張らないといけませんね><

投稿者:(石) at Feb 15, 2009 6:40:28 PM

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