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gdgd妖精sとコミケ その3
いやはや、このペースだと「その10」くらいまで
行っちゃいそうですね…。
ちょっと内容を整理して書かないと。
ビックリしただろう、えへへ」なんていうことを記したいわけ
じゃなくて、もっとちゃんとお伝えしたいことがあるんです。
ただ、説明するための前置きがたくさん必要なもので
なかなかそこまで辿り着かない。
申し訳ありませんがもう少々お付き合いください。
しょうもない3DCGアニメがちょっと話題になったくらいで
調子に乗って偉そうなことを長々書いてるんじゃねぇ!
と思う方も多いでしょうし、
なんだよ、全部計算だったのかよ、そんなのわざわざバラすなよ!
ネズミの着ぐるみの中に人が入ってるとこなんか見たくねぇよ!
一気に冷めたわぁ〜、
と感じてしまう方もいるかもしれません。
全然そんなつもり無いですからね!
僕が担当した演出という仕事なんて「素材が持つ面白さを
どのように提供したら一番面白いまま視聴者に受け取って
もらえるか?」ということであって、料理人みたいな仕事です。
ひとりで胸を張って偉ぶれるようなことなんてしてませんし、
そんな自己顕示欲を満足させるために書いているわけでも
ありません。
あぁ、また前置きが長くなってしまいました。
さくさく進めましょう。
さて、本編の音声編集がひとつずつ終わり、次はキャラの
表情製作です。
そうたくんの発案で、最近のドラクエのように顔だけ2Dにした
方がアニメファンに受け入れられるキャラになるんじゃないか?
ということになりました。
で、急遽アフターエフェクツを使えて萌えアニメの表情に詳しい人
という人材探しが始まったのですが、ちょうど一緒に同人誌を
作っているメンバー(イラスト担当)が条件に当てはまったので
お願いすることにしました。
3DCGクリエイターで、西尾維新さんと幼女が大好きな
23才の女性です(笑)
ひとりでは厳しいということで、その下に学生のアルバイトさんを
3人付けていただくことになりました。
皆さん、普通のアルバイトよりも遥かに安いようなギャラだった
はずです。
ちなみに表情で僕からお願いしたのは、ピクピクは表情は豊か
だけどあまり漫画表現っぽくなりすぎないように
『けいおん!』イメージで。
シルシルはがっつりコミカルに『らきすた』イメージで。
コロコロは大胆に表情が変わる部分を強調したいので
基本的にはあまり表情を変えないで欲しい、ということでした。
レンダリングスピードを上げるために解像度の荒いパーツに
なってしまいましたが、すごく細かい愛のある仕事を
していただき感謝しています。
時期的にはこの時点で9月上旬〜中旬といったところ。
そうたくんがバリバリと3D素材や映像を作ってくれていました。
井上くんの曲に痺れた僕が1ヶ月間で12本分の脚本を書き上げ
(ほんとに我ながらこの期間だけは神がかっていたと思います。
ほとんど記憶がありません)、得体の知れない(そしてきっと
ギャラも安い)仕事だったはずなのに、脚本や収録の雰囲気から
「よく分からないけど、なんだか明らかに他所とは違う
すごい現場だぞ!?」と収録に魂を込めて体当たりで望んでくれた
声優さんたち。
そしてその収録で本気スイッチが入ったそうたくんが全身全霊を
かけて「チープだけど可愛い、さらに毒がある映像」を
作り始めました。
クリエイターとしてこんなに素晴らしい連鎖反応、なかなか
無いんですよ!
駅伝に似てるのかな。なんだかすげー重いタスキ渡された!
これ渡されて本気で走らなかったら俺、もうこの競技やってる
資格ないじゃん!っていう。
あっ、僕、あんまり精神論は好きじゃないんですが(笑)
そうたくんだって絶対にギャラに見合わない仕事だったはずです。
ちなみに井上くんは音楽配信が決まっていなかったこの時点では
完全にノーギャラ!
そんな7月末から9月初旬の僕とそうたくんの合い言葉は
「この作品は絶対に俺たち2人の代表作になる!
(…ただし、売れるかどうかはまた別問題)」でした(笑)
ようやくお伝えしたかったことのひとつに近づいてきました。
こんなオッサンたちの気持ち悪い青春劇ですいません。
さて、この辺りからそうたくんが新スタッフを連れてきて
くれました。
ひとりはPV監督の中角くん。
そうたくん曰く「おそらく映像の世界では日本一すごい25才」
だそうで、オープニングムービーを作るためにわざわざ京都から
1週間泊まりこみに来てくれました。
PVのようなオシャレな映像を作れるのに大のアニメ好きと
いうことで、大きな声ではいえませんが次回予告のイラストを
書いてくれているのも中角くんです。
最初はきっと「先輩映像作家から振られた小さな仕事のひとつ」
くらいの感覚だったのではないかと思いますが、オープニングを
製作しているうちにどんどんキャラに愛情が芽生え始め、
そうたくんのとなりのデスクで作業をしながら
「そうたさん、シルちゃんはこんな表情しないはずなんで
もっとシルちゃんっぽい顔の素材ください」などと催促するように
なったのだそうです(笑)
さらに次回予告イラストについては、最初スタッフ一同
ほんとに大丈夫かなぁ?怒られないかなぁ?と不安だったのですが
「面白いことをやるためだったらノーギャラで良いから
書かせてほしい」と自ら買って出てくれました
(ほんとに次回予告に関してはノーギャラみたいです)。
次回予告のサブタイトルロゴを製作してくれた
インベーダーグラフィックス・中島さんも同様です。
僕のワガママで何度か直しをお願いしたりもしたのですが
ほぼタダみたいなギャラで快く何度でも直してくれました。
もうひとりは音効の徳永くん。
徳永くんは普段ジブリ作品やアップルシードなど本格的な映画の
仕事をしている音効さんで、そうたくんの作品のファンだったために
「一度、そうたさんとお仕事してみたいです」という連絡を
くれたのだそうです。
あまりにもタイミングが良い!ということでそうたくんが
「じゃあ、ちょうど手伝ってもらいたい作品があるんだけど…」と
gdgd妖精sに誘ったのだとか。
徳永くんはまさか萌えアニメの音効をやることになるとは
夢にも思っていなかったようで、慌ててレンタルビデオ店で
大量の美少女アニメを借りて勉強し、奥さんに奇妙な目で
見られたとか見られていないとか(笑)
そんな始まりだった徳永くんですが、いつしか
「一生萌えアニメなんて見ることは無いと思っていたんですが…
なんていうか…最近、アニメの女の子たちが可愛くて仕方ないん
ですよね。こんなに心から癒される世界があったのかと思って。
正直、今やっている仕事で一番ギャラが安い仕事ですけど、
gdgdの音を付けているときが一番楽しいんです。
自分でも信じられないです。」
と言い出すほどにまでなっていました(笑)
そして
「っていうか、そもそも音効もいないのにアニメ作ろうと
してたんですか!?ありえないでしょ!
音があるかないかでコロちゃんの面白さも、ピクちゃんがヒドい目に
遭うときの爽快感も全然違うじゃないですか!」
という熱の入り様になっていました。
どうやらコロちゃんが大好きで、ピクちゃんがヒドい目に合うと
爽快な気分になるようです(笑)
ちなみに、映像が出来上がってからMA(音入れ)までの時間は
製作スケジュールがギリギリだったために1〜2日。
その制作期間で全てのBGMを用意して、効果音まですべて
録音したり作ったりしてくれたのも神業としか言いようがありません。
「黄金パターン」を作ってくれたアレンジャーのハジメさんは
井上くんが連れてきてくれました。
#2までは徳永くんが次回予告曲も用意してくれていたのですが、
誰か専任を立てた方が良いという話になり、井上くんの提案で
エンディング曲のアレンジをしてくれていたハジメさんに
白羽の矢が立ちました。
もうこのときにはオンエアが始まっていて、#1を見てハジメさんは
gdgd妖精sの大ファンになってくれていたとのこと。
一応福原さんがひねり出した「1曲3000円」という金額に
嫌な顔ひとつせず、「エンディング曲だけじゃなく、この作品の
本編に参加できること、自分が役に立てることが嬉しい!」と
喜んで引き受けてくれたそうです。
よし、やっとここまで辿り着いた!!
つまりですよ、僕が言いたかったのは…
これだけのプロの人たちが揃いも揃って、
「ギャラのためじゃなくて『面白いこと』に参加したいんだ!
これだけ尖っていて新しいことにチャレンジしている作品が
自分の力でさらに面白くなるのなら、クリエイターにとって
こんなに冥利に尽きることはないんだ!!」
っていう創作姿勢を持つことができた
ものすごくミラクルな作品だった、っていうことです!!
こんな頭のおかしい、くそチープな15分CGアニメなのに!!
はい、盛り上がってきたところで続きは次回!
January 7, 2012 | 固定リンク
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