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gdgd妖精sとコミケ その4
全3回で終わらせようと思っていたのですが、4回目です。
いかん、時間が空くと書きたかったことを忘れてしまう…。
まず前回の結論の補足から始めたいと思います。
これだけプロの人が集まって(とはいっても、一般的な
アニメ制作現場に比べたら全然少ないわけですが)、
その人たちが採算度外視で「協力したい!」と言ってくれた、
その求心力はこのコンテンツの“挑戦”だったのだろうと思います。
企画内容、スケジュール、予算…あらゆる点で無謀な挑戦でした。
ただ、もし実現したらすごく新しい!という魅力があって、
しかもものすごく小さな可能性だけど実現のビジョンもうっすら
見えてしまった…きっとクリエイターだったら沸々と闘志が
みなぎってきてしまうことでしょう。
クリエイターだけではありません。
制作進行担当Pの福原さん、APの重藤くんも、この挑戦だったら
たとえうまく行かなかったとしても諦めがつく!というような、
一般的な考え方で言えばビジネスマンにはあるまじき覚悟が
生まれていたことと思います。
あ、いや、こんな低予算でしょうもない内容の
アニメなんですけどんね!
経験則で恐縮ですが、物理的に出来ることから逆算して
コンテンツを作る製作姿勢では、ユーザーがほんとに欲しいと
思える良いコンテンツは生まれません。
青臭い話、良いコンテンツはその作品力がそれに関わる末端の
人たちにまでハートに火をつけて、前提となる物理的な壁を
乗り越えさせることで想定以上の結果を生むのだと思います。
良い作品を作る現場ほど企画の場では物理的な都合は二の次で
話が盛り上がります。
いつの間にか社会に揉まれて無意識のうちにちょっと諦めて
しまっていたけれど、クリエイティブやエンターテイメントって
本当はどれもこうあるべきだよな、っていうことを思いだしました。
完全に僕がまだ芸人だったころの感覚を取り戻させてくれました。
そんな素晴らしい現場に恵まれたということにとても感謝しました。
そしていよいよgdgd妖精s第1回目のオンエアを迎えました。
#1と#2はまだ最初だったのでそうたくんも手探りをしながら
準備に1ヶ月かけて映像製作に望み、お互い丁寧にイメージを
近づける作業をしました。
緊張しながらオンエアを見守っていましたが、ツイッターや
ニコ動でのリアクションが想像以上に良かったため
心の底から安堵しました。
最初の拒否反応さえ最小限に抑えられれば、あとはじわじわ
認めてもらえるだろう、という準備をしてきたからです。
しかし、ここでひとつ想定外のことがありました。
嬉しい誤算(?)です。
こんなチープなアニメ作品で、まだ放送開始間もないというのに、
pixvに複数のイラスト投稿が上がったのです。
さらに、ネット上や同人界のカリスマ的立場の方々が何人も
こんな初期段階からものすごく肯定的なリアクションを
してくれたのです。
まだほとんどの人たちが「この大火傷くそアニメをバカにして
笑ってやろうぜ!」というような気持ちでgdgd妖精sを見ていた
時期にです。
そこで気がつきました。
もしかしたらgdgd妖精sのスタッフたちの中で起きた現象、
コンテンツの「新しさ」と「挑戦」がクリエイター心に働きかける
という連鎖が、実際にお会いしたことも無いテレビの前の
クリエイターたちにも波及しているのではないか?
この人たちもハートに火が付いて、どこか居ても立っても
いられない気持ちを少しづつ感じ始めているのではないか?
僕はすぐに福原Pとそうたくんにメールをしました。
「gdgd妖精sで公式に二次創作を認めるという発表は
出来ないでしょうか?
宣伝予算が無いなら、二次創作を公式に宣伝として
位置づけませんか?
この作品はきっと多くのクリエイターたちが参加したり
盛り上げたくなる作品です」
おそらくアニメ業界にとって型破りだっただろうこのアイディアは
僕がコスプレ番組や同人誌制作に関わっていなければ決して
出て来なかったものだろうと思います。
すぐにそうたくんが賛同してくれました。
「いいですね!
キャラ3人のMMDデータを配布できないでしょうか?
公式そのままのキャラを自由にいじれたら、
MMD映像作家さんたちはすごく喜んでくれると思います!」
それに対する福原Pの答えはこうでした。
「キャラの権利はそうたさんが持っているので、
そうたさんが良ければ全然オッケーです!やりましょう!
ただ、本編の音声に関してはキャストさんたちにも
権利があります。その侵害を公式に認めることは難しいです。
それと、曲に関しても井上さんに権利があります。
CDとして販売してあげられない上に、それをフル尺で
ばらまいてしまうというのはさすがに井上さんに申し訳ない。
というわけで、認められる二次創作にいろいろと条件がついて
ややこしい発表になってしまい、返って混乱させてしまのでは
ないかと思います。
ただし、そうたさんと石舘さんがネット上などの公の場で
個人的にgdgd妖精sの二次創作物を応援するのはオッケーです!
本当にマズいものを発見したときだけは削除依頼をしますので」
それを受けて、ちゃんと発表するわけではないけれど、なんとなく
二次創作がオッケーっぽいムードを作って行くことになりました。
そして、ものすごくタイミング良くWindows100%さんから
「MMDデータを付録にさせてもらえないか?」という
依頼もあり、さらにエンドカードやアイキャッチカードを
募集することにもなりました。
放送前までまったく情報を出さなかった秘密路線(?)から一転し
バックステージではどんどんリアルでタイムリーな裏話を綴り、
ユーザーと作品&製作陣の距離を縮める方向にシフトチェンジしました。
完全にユーザーの方々と一緒に作り上げていくという、
普通のアニメ作品では有り得ないスタンスが出来上がったわけです(笑)
なので、実はBDのパッケージをKEIさんにお願いしたというのには
ただ「パロディを本人にお願いした」というネタ要素以外にも
こういう背景がありました。
みんなで作るもの、二次創作の象徴的な存在だと思ったもので。
最終回のスペシャルサンクスも同様です。
「こんなの出すアニメ、異例だろうな」というネタ要素もありましたが、
本当にみんなで作り上げたという意識が強かったんですよね。
ブルーレイだって皆さんのお声が無ければ出す予定も無かったですし、
僕自身バックステージのネタを探さなくてはいけなかったので
毎日あらゆるページを覗きに行って一喜一憂させていただきましたし。
本編の後半についても触れようかと思いましたが
話の流れ的には特に必要ない部分なのでまた別の機会にでも。
さぁ、そんなこんなで始まってしまったらあっという間に
終わってしまったワンクール。
直後の冬コミは僕にとっては打ち上げのような場所でした。
他のスタッフたちもきっとそう感じて、顔を揃えて遊びに
来てくれたのだろうと思います。
冬コミの会場でgdgd妖精sがどのように扱われているのか、
どれくらいの方がうちのブースに来てくださるのか、
なんだか通知表を受け取るような気分でした。
まず開始と同時に30冊(既刊&新刊を10冊ずつ)も
まとめ買いしてくださった方、本当にありがとうございました!
あまりに非現実的な出来事過ぎて、地に足がつかなくなりました。
(追記:「転売目的の業者ではないか?」というご指摘を受けたの
ですが、もともと料理本で品薄になって高額になるような本でもなくて
新刊も100冊は残っています。ご本人のpixvを覗かせて
いただいたりツイッターでやり取りさせていただいた限りでは
単純にgdgd妖精sのファンだというように感じました)
地元の名菓を差し入れしてくださった方、ありがとうございました!
僕、どこかにナッツが好きって書いてましたっけ?
偶然かもしれませんが落花生のお菓子、大好物でした。
「こんな番組がやりたかったんですよ!悔しかったです!
今度うちの番組にもお誘いして良いですか?」と言ってくださった
声優バラエティ番組の方、ぜひお待ちしています(笑)
アンケートにご協力してくださった方々、ありがとうございました!
始めたのが11時半くらいで一番お客さんの多かった時間を
逃がしてしまったのが悔やまれますが、総票数50数票。
アットウィキのアンケート結果とはちょっと違うのですが、
1位:#11、2位:#12、3位:#1&#3、という
結果になりました!
けっこうバタバタしていてあまりブースから離れられなかったもので
ご挨拶に伺えなかった皆さん、すいませんでした!
そして最後にひとり、実は年の瀬にとても心に残るお言葉を
いただいた方が居るのでこの場を借りてお礼を言わせて
いただきたいと思います。
年齢は僕よりも7〜8才上だったでしょうか?
(違っていたらすいません!)
「gdgd妖精s、すごく面白かったです」と声をかけてくださった
その方は、以前アニメの製作をされていたとのこと。
今は本編製作の方はリタイアして、比較的自分のペースで
アニメ関連のCDなどを製作されているとおっしゃっていました。
僕が
「あっ、業界の方だったんですね!
ありがたいことに、業界の方や新進気鋭クリエイターの方々に
評判がいいみたいなんです」
とお答えすると、その方は…
「いやいや、僕みたいにもうアニメ製作をリタイアした
人間にだって分かりますよ。
この作品がアンテナに引っかからなようなら、
そんなやつプロじゃないですよ。」
全身鳥肌が立って頭が真っ白になりました。
目が自然と潤んでしまいました。
当然社交辞令の要素だって多分に含まれていたことでしょう。
ですが、ここまで読んでくださった方ならご理解いただける
ことと思います。
この経緯で、このタイミングだったもので、そのあまりに嬉しい
ひとことに気絶するかと思うくらい脱力してしまいました。
そんな状態で一応笑顔は作っていたものの、それ以上お話しできる
状態ではなくなってしまったため、もしかしたら素っ気ない対応だと
思われてしまったかもしれません。
だとしたら大変失礼いたしました。
こんなに贅沢なご褒美はないと思います。
本当にありがとうございました!!!
そんな僕にとってgdgd妖精sの最高の打ち上げになった冬コミ、
ようやくタイトルどおりgdgd妖精sとコミケが結び付きましたが
まだこれで終わりではありません。
gdgdの話はあまり出て来ないかもしれませんが、僕の去年1年間の
総まとめとして最終章・その5に続きます。
January 8, 2012 | 固定リンク
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コメント
gdgd妖精s放送終了お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
どれだけこの作品を好きなのか…とても言い表せません。
gdgd妖精sを見て
普段ほとんど使うことのないペイントを立ち上げて絵を描いてみたり、初めてムービーメーカーを使って動画を作ってみたり何年かぶりにアニメグッズ買ってみたり。
新しいことに挑戦して、gdgd妖精sを通して世界が広がったかも。
今後もgdgd妖精sの成功とスタッフの皆様のご活躍を祈ってます。
投稿者:名無し草 at Jan 8, 2012 1:02:49 PM
落花生のお菓子…喜んでいただけたようでなによりです。
千葉県は北総地方の名産品である落花生を使ったパイです。
1.その地方の名産品を使っている
2.名産品を利用していることが名前からわかる
3.そしてなによりもおいしいこと
という地方土産のあるべき3条件をすべて満たす千葉県の誇る銘菓です!
それでは。
投稿者:名無し草 at Jan 8, 2012 1:03:58 PM
こたろさんと虚縁玄さん…
2011年の始まりと終わりを代表する脚本家二人を会わせてみたら
アニメ界でビックバン起こせるんじゃないか?
っていう妄想をしつつ…ちょっと期待してみたりしています
投稿者:Therck at Jan 8, 2012 8:12:54 PM
>名無し草さん
おお、あのときのっ!
ありがとうございました。
制作者冥利に尽きるお言葉ですね!
そしてごちそうさまでした。
>Therckさん
ちょ、ちょっとおそれ多すぎる組み合わせですね…
そして僕、根っからふざけている人間なもので
真面目な作品なんて作れないですよw
投稿者:(石) at Jan 13, 2012 9:21:51 PM