刺激ビリビリ(The Biribiri Fantasy)

日々、刺激を受けたことを書き綴っています

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gdgd妖精sとコミケ その5

少し間が空いてしまいました、すいません。

そして前回省略してしまったものの、gdgd妖精sに関して
書こう書こうと思って書き忘れてたことがひとつあったことに
気がついてしまったので、今回はそこから始めたいと思います。


時はさかのぼって10月、gdgd妖精sのオンエアが始まった
コロのことです。

たまたまスタッフに高円寺〜中野在住者が多かったということで、
#1のオンエアから数人が我が家に集まり、毎週リアルタイムで
鑑賞会が行われました。

そしてツイッターや2ちゃん実況を覗かせていただきながら
オンエアを見ていたのですが、あまりのリアクションの多さに
びっくりしました。
しかもリアクションは回を重ねるごとに増えて行きます。

自分たちががむしゃらに作り上げた挑戦的な作品をテレビで
放送し、その大きな反応をリアルタイムで見させてもらう…
作り手にとってこんなに贅沢な楽しみはありませんでした。

ニコ動のコメントもそうです。
これだけ多くの人たちが公開早々に集まってきて再生してくれて、
どんどんコメントを付けてくれる…。
そして、皆さんのツイートや書き込み、コメントの面白さに
大笑いもさせていただきました。
ここ10年くらいで一番楽しい時間だったかも知れません。

井上くんは初めてオープニングに弾幕が張られたのを見て
目に涙が浮かんだそうです(笑)


僕もそうたくんも毎週こういう皆さんのコメントに笑わされる度に
悔しくなり、追われていっぱいいっぱいの中でさらに貪欲に
なっていきました。

実は、ティータイムやアフレ湖はもともとそんなにキャラを
動かすつもりもありませんでしたし、ティータイムの挿入シーンや
イラストもそこまでたくさん入れるつもりは無かったんですよね。

次回予告もイラストは使わず第1話のやり方で最後までやろうと
考えていましたし、エンディングのダンスもカメラワークを
毎回変える程度で、最終回以外にはネタを仕込むつもりも
ありませんでした。

「前回までの…」「未公開妖精s」「OPキンクリ」も、
オンエアが始まるまで、音声編集後の段階ではまったく
考えていませんでした。

挙げていけばキリがありませんが、それらは全部、
皆さんのコメントを読んで笑わせてもらって悔しくなり、
負けてたまるか!と貪欲になった結果、締め切りギリギリで
生まれて加えられていった部分です。

このシリーズ日記をご覧いただくと、なんだかあたかも僕が
いろんなことを全て頭の中で最初から計算していたかのように
感じさせてしまうかもしれませんが、全然そんなことありません。

ご周知の通り声優さんたちに作っていただいた部分もたくさん
ありますし、そうたくんが作ってくれたものは莫大ですし、
こうして皆さんに作っていただいた部分もたくさんありました。

そういう意味でも他のアニメ作品には有り得ないような
すごくミラクルな作品でしたし、その感謝を込めた
スペシャルサンクスでした。

ああっ!
こんな大事な話を前回の流れの中に盛り込み忘れるなんてっ!
オチの部分を早く書きたくて焦りすぎたっ!!

大変失礼いたしました。
いつか何かの本などにまとめる機会があったときには、
まるで何事も無かったかのようにシレ〜っと前回の流れに
入れこんで更なる感動を煽っておこうと思います(笑)


せっかくなんでついでに、前に触れた「保険」についても
少しだけ書いておこうかと思います。

複数のターゲットを想定していたこと、そしてネガティブな方に
転んでしまう化学反応を極力抑えるため、作品内外にいろいろな
保険をかけられるだけかけておきました。

最終回で例えますと、あれだけ尖った賛否両論ありそうな話
だったもので、大きく4つの保険をかけました。


ひとつは、あの内容を一応あらかじめ煽って、何割かの人には
自然な流れで楽しめるようにしておくこと。
代表的なのは房子の盛り上げ方ですが、他にも「最後の3日」、
「危機回避マニュアル」などで終末感を煽っておいたり、
次回予告のサブタイトルやバックステージでも少し
煽っておきました。

ふたつ目は、シリアスな目で見ても「どうせ夢オチだろ?」
という疑いの目で見ても楽しめる構造にしたこと。
2回目に見たときにも楽しめるように、ということも含めて
シリアスであること自体がバカバカしいのに、なんだか
感動してしまう(笑)というフォーマットにハメて、
どちらの目線で見ても楽しめる構造を考えてみました。

3つ目は、いくつかの大きな伏線を回収したこと。
実は、オンエア前の製作委員会名は「gdgd妖精s製作委員会」
もしくは「gdgdパートナーズ」になる予定でした。
僕がどうしても伏線回収の保険をかけたくて、わがままを言って
変えさせてもらいました。
いくつかの伏線を同時に回収するちょっと考えられた作りに
なっていれば、たとえ個人的には好みの内容ではなくても
後味の悪い終わり方にはならないかな、と。

最後は、一番見たことがない終わり方をすること。
エピローグのDVD宣伝ですが、善くも悪くもそこまで斬新なものを
見せられたら、これもたとえ最終回自体が個人的な好みでは
なくても諦めがつくと言いますか(笑)
「こりゃあ一本取られたな」みたいな感覚になって、嫌な気分に
なった人さえも苦笑いしてくれるんじゃないかな、と。


僕が言う「保険」っていうのはこんな感じのことです。

ターゲットが複数だったために、こういう保険の作り方に
一番頭を使ったかもしません。



他にも例を挙げますと、「おじさん跳び」「gdgdスイッチ」
「ドッキリ」「危機回避マニュアル」はどれも基本的に
見た目にバカバカしくてあまり理屈のいらない体育会系の笑いで、
そのままではあまりアニメファン層には刺さらない内容でした…
どれもテーマ発案は陽気な体育会おじさん・福原Pです(笑)

「おじさん跳び」に関しては一応設定がシュールなので大丈夫
だったということと、分かりやすいパロディ要素や3人のキャラに
寄せた笑い、さらには分かりやすいお笑い的な3段オチを付けて
アニメファン層にも楽しめるように保険をかけました。

「危機回避マニュアル」も同様です。

「gdgdスイッチ」は3人同時プレイだったということで
キャラに寄せた笑いを入れずらかったのですが、中では体育会臭が
少なかったということと、それまでのおじさんたちをオールスター
で登場させたこと、最後にちょっとロジカルな元も子もないオチを
付けて保険にしました。

唯一の心残りは「ドッキリ」でした。
これも3人の立ち位置がほとんど一緒でキャラに寄せた笑いが
作りづらかった上に、他作品パロディも入れづらい構造、さらに
もっとも体育会臭が強いということで、逆ドッキリのオチは
付けたものの、アニメファン層も楽しめるというところまでは
持っていけませんでした。
一応もうひとつ、最低限の保険として付けておいたのは
お茶会の内容とリンクさせて伏線を回収する構造にしたこと、
アフレ湖が盛り上がった回を持ってきてそっちで楽しんで
もらえるようにしたことくらいです。

アニメファンのアレルギーをメン&タイだけでは消しきれなかった
ことが唯一の心残りでした。


というわけで今回の結論は
「ちゃんと考えれば、いろいろと保険を張った上で
複数のターゲットが楽しめる多重構造は作れる!」
ということです。

これ、次回に続きます。
次こそ最後の予定!!!

January 13, 2012 | 固定リンク | (このエントリーを含むはてなブックマーク)

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