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『てさぐれ!部活もの』製作後記(前編)
日テレさんで2クールに渡って放送してきたアニメ
『てさぐれ!部活もの』が先日、無事に(?)最終回を迎えました。
終わったらブログを更新しようと思っていたものの、
終わった瞬間になんだかふわ〜っと頭が真っ白になってしまい
・・・さて、何を書いて良いものか?
製作をしていた約8ヶ月間、すでに第1期を作っていた前半のことは
あまり覚えていなくて、前半もかなり辛かった気がするんですが
後半の辛さにすっかり記憶が上書きされてしまっているように感じます。
各所のインタビューなどでお答えさせていただいたことは省略するとして、
今だから話せることをいくつか書き残しておきたいと思います。
まず、連続第2期となった『あんこーる』について。
想定外の延長でしたが、逆にこういう状況でしかできない続編をやろう、
と腹をくくって考え始めました。
アニメの映像制作にはどうしても「時間」「労力」「予算」が
顕著にクオリティとして現れてしまいます。
つまり、このスケジュールでは前半(第1期)を越えることはもちろん、
今まで並のクオリティを担保することも難しい、という状況です。
脚本もなんとか「書く」ことはできても「練る」作業ができず、
どうしてもクオリティは下がります。
単純に「面白さのクオリティを上げる」ということ以外にも、
いつもはプレスコ収録ということで、アドリブブロックが
どう転んでも良いよう、台本部分をある程度の尺調整に
融通が利くように準備しているんです。
アドリブ部分が盛り上がればブロックとしてカット出来るような
構造にしておいたり、ひとつひとつのセリフでも、途中でカットしても
意味が通じる文章に作っておいたり。
音声編集作業も僕自身がやるということで、収録後に
「もっとも面白くなる選択肢」が選べるよう、台本を「練る」作業を
しているんですが、今回はその時間が無かったということで台本部分が
編集しづらく、どうしてもバランスが悪い状態のまま納品しなくてはいけません。
音声編集でも、時間があればもっと細かくカットして詰めてネタ数を増やしたり
凝縮した内容に出来るのですが、残念ながら今回はそれもできません。
そんな中、第1期を越えられる要素にはいったい何があるのか?
それは「キャストの信頼関係」でした。
上記の通り、アニメーション制作の実務が伴う部分はどうしても第1期の
クオリティに届かないものの、すでに3ヶ月間やって来たことで
キャスト同士の信頼関係と、アドリブに対する(良くも悪くも)
「慣れ」というものに関しては、第1期以上のものになるだろう、と考えました。
非常にバラエティ的な発想ですね。
第1期ではこれまでの作品以上に「アニメのフリをする」ということに尽力し、
第2期では僕がこれまで作ってきた作品どおりの「バラエティ的にぶち壊す」
という方法論で構成した、という感覚です。
ネガティブに言えば、このスケジュールで第2期を乗り切るには
もはやこれしか武器が無い…(笑)
なので前半の3ヶ月間で大事に育て上げたものをぶち壊すが如く、
とにかくキャストの皆さんには自由に、好き勝手にやっていただこう、と。
メタネタも、ゆとり発言も、下ネタも、へごいじりも、貧乳いじりも、
思う存分爆発させてもらい、井上も吉尾Pもとことんディスってもらい
(…2人とも、ほんとに申し訳ない!)、これまで以上に踏み込んだ
トークを繰り広げてもらって、それを作品全体に反映していこう、
というのが僕としてセカンドシーズンの主軸となる「勝算」でした。
これには賛否両論あるでしょうし、結果アドリブパート&ラジオでは
誰ひとりとして無傷では終わらないくらいの状態まで持っていかざるを
得なかったため、出演者、スタッフ、視聴者関わらず、中には少なからず
嫌な思いをした方もいるかと思います。
でもおかげでなんとか、ただの「惰性での延長」ではない、
「何かの要素では第1期を上回るセカンドシーズン」を
作ることが出来たと思っています。
関わってくれた全ての方々に感謝しています。
ただし、これだけではまだ
「第1期の評判の上にあぐらをかいた、ただの悪ふざけ」
という印象が強くなってしまう危険性があります。
上記の「キャストの信頼関係を活かした第1期以上のアドリブパート」を
ポジティブな方向に転がすためには、いくつかの「保険」がなくてはいけません。
ちょっと長くなってしまったので、その話はまた後日!
(後編)に続きます。
April 8, 2014 | 固定リンク | ()
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