「ロード・オブ・ザ・リング」や「ドラクエ」や「ファイナルファンタジー」に感動した経験のある全ての方々に、僕が一番好きなファンタジー小説「ドラゴンランス」を紹介します。
「ドラゴンランス」は、全世界で5千万部以上売れ、アメリカの特定の世代にとっては、日本のガンダムのように、「知らないヤツといても、ドラゴンランスの話をすれば、とりあえず会話はできる」という程に有名な物語です。
アマゾンの書評でも、絶賛のコメントが続いていますね。
ドラゴンランスは、D&Dという、ドラゴンクエストなどの元にもなったTRPG(テーブルトークRPG)がベースになっています。なので、ゲーム的な設定がいくつか盛り込まれています。主人公たちは、戦士や僧侶などのパーティを組んでいる。善/中立/悪といった属性がある。魔法は1度使ったら覚え直さなくてはいけない。ゴブリンやトロールといった怪物たち。etc...
しかし、ドラゴンランスは、単にゲームを小説化したような、単純な物語ではありません。その歴史や種族、小道具などは極めて緻密に設定され、活躍する人々は底の深い内面を持ち、複雑な運命の糸が慎重に織り込まれています。
特に、人々の描写が見事です。後に「ランスの英雄」として伝説になるドラゴンランスの主要人物は、みな最初は悩みやトラウマ、深刻な弱点を抱えていますが、それを隠して、雄々しく生きています。しかし冒険のさなかに起こる様々な出来事によって、自分を覆っていた仮面を、否が応でも引き剥がされ、むき出しの、醜い姿をさらけ出します。
そんな絶望のさなかから、主要人物たちは、もう一度自分がどういう人間なのか、自分は何をするべきなのかを、掴み取っていきます。苦しみの底から立ち上がろうとする彼らの、なんと強く成長したことか! とても感動的で、リアルで、教訓に満ちています。
もちろんこの小説は、基本的にはエンタティメントです。剣がきらめき、モンスターが躍りかかり、魔法が炸裂します。謎に満ちた古代の遺跡、雄大な自然、暖かな居酒屋が登場します。暗く危険なダンジョン、奇跡を呼ぶ宝物、脅威の要塞も味わえます。美しいエルフ、アンデッドたち、最強の生物ドラゴンも、たっぷりと拝めます。およそファンタジーで考えられる、ありとあらゆる「ワクワクするもの」は全て、思う存分活躍します。そしてそれに加えて、リアルで感動的な人間模様が楽しめるのです。登場人物の成長ひとつとっても、必ずしも善の方向だけとは限らないところが、また魅力です。
「ドラゴンランス」は、基本的には、第二次ドラゴンランス戦争を描いた「ドラゴンランス戦記」、魔法使いレイストリンと戦士キャラモンという、双子の時間を超越した旅を描いた「ドラゴンランス伝説」、そして最後に、それを取り巻く外伝たちで構成されていました。
しかし、このたび、エンターブレインより、10年以上ぶりに、新章が刊行されはじめました!!!
新章は、「ランスの英雄」の子孫たちが主人公となっているそうです。しかしただの「続編」ではなく、あとがき曰く「むしろ”これこそ最初から書きたかったことだ”と言わんばかりの作者の迫力ある構成や筆致に、ど肝を抜かれることになる」そうです。
と、言うわけで、僕は10年以上ぶりに、「ドラゴンランス」を第1巻から読み直しています。あまりの面白さに、時間も仕事もすっかり忘れてしまいました。こんな重厚な物語を知ってて、本当に幸せです。皆さんも是非、一度読んでみてください。