先日、相方に連れられ、はじめて文楽(人形浄瑠璃)というものを見ました。
僕が見た演目は「芦屋道満大内鑑」。
日本最強の魔術師である安倍晴明の出生の秘密に迫る物語です。
感想は……なんというか……
「人形の動き、半端じゃない」
です。
思ったより全然ダイナミックに所狭しと駆け回り、
アニメのように大げさな見栄を切りまくります。
それなのに、細かい所作に異常にこだわり、
下手な人間よりよっぽど情感に溢れていました。
特に圧巻だったのは、
人間に化けて安倍保名と結婚し、子を産み育てていた狐が、
自分の正体がバレたために夫子と別れるシーン。
母の、妻の悲しみがすごい迫力で伝わってきて、息をするのも忘れるほどでした。
文楽は、ユネスコの世界無形遺産にも選ばれているそうです。
そりゃそうだ。アジアやヨーロッパの色んな人形劇を見ましたが、
これほど細部にこだわった、緻密なそれは、見たことがありません。
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日本には、奥の深いものがたくさんありますね。
文楽。
能。
雅楽。
禅。
着物。
浮世絵。
枯山水。
俳句。
落語。
武道。
etc、etc……
最近は、日本の昔の文化に興味を持つ人が、周囲に増えてきている気がします。
最近、特にネットの世界では、政治的に右寄りな人が増えてきたような印象を受けます。
色んな要素が絡まった複雑な問題ですが、
もし事の本質が、自国民の誇りを取り戻すということにあるのだとしたら……
より平和的な方法としては……
ハワイは、外国と接触してすぐに、自国文化を徹底的に破壊され、
アメリカの一観光地と化してしまった歴史があると聞きます。
しかし30年ぐらい前から、メリー・モナーク・フェスティバルやカヌー航海者ナイノア・トンプソンらの活動によって、
ハワイ独自の文化を見直す機運が高まったという経緯があります(この辺を参考にしました)。
日本でも、自分たちの芸術を伝統芸能という枠組みで閉ざしてしまうのではなく、
自国の文化を見直して、実際に現代によみがえらせる、
文化的右翼活動、言い換えると、
ジャパニーズ・ルネッサンス
みたいなものが、もっと盛んになってもいいと思うし、
また実際に盛んになっていくのかもしれないですね。
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