先日、電車の中で、僕の前にいた「慶應義塾」と書かれた封筒を持った主婦2人が、高校生になる息子の剣道着の臭いを消す方法について、一生懸命情報交換してたんですよね。
「ああ、母というのは、愛する息子のために、様々な工夫しているのだなあ」
と感心しながら電車を降りて、タリーズコーヒーに向かったのですが、
そこに、男子高校生2人組がいたのです。
いやもちろん前述の主婦の息子ではないですが。
その2人組は、テストの準備?か何かのために、コピーした英文を一生懸命ノートに貼っていました。
あまりにも一生懸命だったので、基本的に大人の雰囲気で統一されているタリーズコーヒーが、彼らの周囲のみ自室みたいなことになっていました。こんな感じ↓
そのうち、片方がもう片方に、ポツリとこう尋ねました。
男子A:「なあ……『ミクシィ』って英語?」
男子B:「ネットの? 英語だろ。だって『み』ではじまる漢字ってあんまねぇだろ?」
男子A:「そうだよな、わかってて聞いたんだよ」
彼らは大変なものを盗んでいきました。僕の心です。
もはや手元の仕事とかに全然手中できません。
しばらくして、ようやくコピー貼り作業が完了し、彼らは晴れ晴れとした表情で帰り支度をはじめました。
あれ? 勉強はしなくていいの? なんていう疑問はヤボというものです。もちろん彼らの脳内ではすっかり勉強した気になってるんですよ。コピーをノートに貼ることによって。
でも、2人もうっすらと、自分たちの頭の悪さを気にしているらしく、試験への不安を互いにポツリポツリとつぶやいてます。
でも男子Bはちょっといいことを言って場を和ませようとしたようです。
男子B:「でもさ、お前は地がいいからいいよな」
ところが男子Aは急にキレました。
男子A:「ふざけんなよ! オレ痔じゃねーよ!」
男子B:「ちげーよ、頭の地だよ」
男子A:「頭の痔? ……いいや、雨降ってっからよくわかんねーや」
スター? もしかしたら僕は次世代のスターを眼前にしているのでしょうか?
次の上地雄輔は彼らなのでしょうか?
そして……彼らの母も、冒頭の母と同じように、息子に良いようにと、一生懸命あれやこれやと工夫しているに違いないのです。
その母と子のギャップを思うと……人生って大きなことから小さなことまで、隙間なくビッシリと複雑怪奇だなと感心せずにはいられません。
羞恥心
羞恥心 (アーティスト), 島田紳助 (その他), 高原兄 (その他)