ほぼ日刊イトイ新聞 - 『MOTHER3』の気持ち。
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── 『MOTHER2』のときも、 糸井さんがセリフをしゃべって、 それをスタッフの方が書きとめるかたちで つくっていったと聞きましたが、 今回の『3』のやりかたとは違うんですか。
糸井 違います。
『2』のときはね、ぼくと、
ぼくがしゃべるセリフを書きとめてくれる子と、
ふたりだけでやってたんです。
するとね、その子の立場が弱いというか、
「うわぁー」って言う役割になっちゃうんですよ。
それは、言ってるぼくとしては気持ちいいんだけど、
ぼくが暴走したときに止められないんだよ。
そうすると、破綻もするし、
冷静な判断ができなくなってしまうんです。
だから、今回は、自分にとっての
最初のお客さんというか、
最低限のギャラリーが必要だったんです。
つまり、ちょっとした客前で芝居をする感じで。── ああ、なるほど。
糸井 たとえばさんまさんの
『さんまのまんま』は、
お客さんを呼んでるわけじゃないんだけど、
収録しているスタジオのなかに
なんか26人くらいギャラリーがいるんです。
スタッフや見物客を含めて。
あの、さんまさんがときどき、
「こんなん好き?」って
その見物客をいじるでしょう?
あれ、いないと、違うと思うんですよ。── 第三者の目が、ちょっとあるんですね。
糸井 その、「ちょっと」が必要なんですよ。
その、こういう言い方をすると失礼だけど、
「なんでもいいから反応してくれ!」
っていうお客さんが必要だったんです。── はい(笑)。
糸井 アドバイザーなのか、オブザーバーなのか、
ただの野次馬なのかわかんないけど、
でも、それって、できる人は
日本中に何人もいないわけでね。
そういう最低限の信頼できるお客さんを横に置いて、
ものすごく集中しながらセリフを言って、
横にいる人が、笑ったり、
心臓の鼓動を速めたりするのを感じながら、
おーしめしめ、考えてるぞとか言って
ぼくはつくっていったわけです。
そういう環境が整うと、
短い時間に、密度の濃い往復ができんですよね。
セリフをしゃべって、反応を見て、
それでまた変えたり、つぎに行ったり。
その往復がその場でできるから、
どんどんつくれるというか、
どんどん直せるんですよ。