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2006年11 月17日 (金)

「一人負け」の日本

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「在韓米軍は撤収しても、在日米軍は撤収しないので、韓国と日本は違う」と思う人がいるかもしれないが、その見方は楽観的すぎる。アメリカは、世界的な軍事負担の軽減として米軍再編を行い、その一環として、韓国やドイツ、サウジアラビアなど、世界中の同盟国から軍を撤収している。私は10年ほど前から毎日アメリカの報道やシンクタンクの論文を大量に読み続けているが、日本だけは米軍再編の例外だという論調は、一度も見たことがない。例外でない以上、米軍は沖縄を含む日本からも撤退する(している)。

 米軍再編とは、海兵隊などの駐留軍を世界から撤退する一方で、有事の際に米軍がすぐ使える港や滑走路を世界中に契約しておく計画であり、沖縄や横須賀などの米軍施設は、日米軍が共用する施設などとして今後も残る。だが、有事の際に米軍が来てくれるかどうかは、米側の意志しだいである。すでに日米同盟は空文化している。

 単独覇権主義の今のアメリカは、どこの国とも同盟関係を維持するつもりはない。最も親密だったはずのイギリスさえ、切られている。日本だけが特別に扱われるとは考えられない。08年の大統領選挙でアメリカが民主党政権になっても、大した変更があるとは思えない。対米従属が最善と考える日本政府は、日米同盟の終わりを認めたくないし、国民に知らせたくもないので、日米同盟が強化されているようなイメージばかりが報じられているが、実際は逆である。

 この件について私は「アメリカが悪い」とは思っていない。アメリカは、世界中のことに責任を持つ義務はない。世界の人々は従来、アメリカは嫌いだといって怒るくせに、アメリカに頼っていた。そんな時代はもう終わる。私は「日本政府が悪い」とも思っていない。戦後の日本にとって、対米従属は最良の選択だったからだ。しかし、それも過去の話になりつつある。

 重要なのは、911後のアメリカが故意の失策を繰り返し、何も変わっていないかのように見せながら隠然と世界から手を引き始めている今の新状況に、日本が早く気づき、次の国是を考え、対策を打った方が良いということである。韓国や中国、ロシアは、すでに新状況に気づいている。北朝鮮の金正日も、もう気づいたかもしれない。このままでは、日本だけが出遅れて「一人負け」することになる。



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