Link: ほぼ日刊イトイ新聞 - 『MOTHER3』の気持ち。.
糸井 なんていうんですかね、
本気の度合いが高まる瞬間があるんですよね。
歯を食いしばって、
2、3発なぐられてもいいみたいな、
そういう気分で向かうわけですよ。
周囲のメンバーがみんな
「ん?」って思ってるときでも、
「いや、ここはこうするから!」って
ぼくが反対しながら進む瞬間って
何度かあったじゃないですか。
あのときって、ちょっとこう、
朝青龍な気持ちなんですよね(笑)。
── (笑)
糸井 「この瞬間は、オレが上ね」っていう
すっごい動物的な気持ちで。
そうじゃないとやっぱり、
つまんなくなるんですよ。
中途半端になっちゃうんです。
まあ、理解し合ってる人たちが
相手だからこそできるんですけど、
なんていうのかな、
ケツの穴をギュッと縮めてるとき、
「よいしょっ!」っていう気持ちは
おれのほうが上だっていう
ガキのころの気持ちですよね。
── はい(笑)。
糸井 それはね、絶対に必要だと思うんですよ。
その、なんだろう、
「アスリートの獣くささ」みたいなものは、
クリエイティブのなかにもあるんですよ。
こう、「黙れ!」みたいな(笑)。
── 周囲のメンバーが
「それをやっちゃうと、
これこれこういう影響が出ますよ、糸井さん」
の「糸井さん」まで言い終わらないうちに
「あ、ま、いいから!」みたいな(笑)。
糸井 はははははは。
あれはもう、ケダモノですよね。
そのくせ、あとから
「ほら、こうすれば、
さっきの問題は解決でしょ?」
ってフォローしてみたりね。
あの、ケダモノになるのって、
人としてはちょっと恥ずかしいことだからね。
だから、フィールドがない場所で
ケダモノになっちゃだめなんですよ。
あの「合宿」は、そういうフィールドで、
まわりの人間にも
そこの段差がわかってるからこそ、
ケダモノができるんです。
いつでもオラーッてやってたんじゃ
やっぱり、よくないというか、
おもしろくないですよね。
── そりゃただの乱暴者というか、
たんに「強引な人」になっちゃう。
糸井 その意味では、やっぱり、
わかってくれる人っていうか、
いい仲間に出会えてるっていうのは、
ほんとにすごいことですよね。
だから、自分でなにかものをつくってね、
こう、人にそれを問いかけて
生きていこうっていう気持ちがある人は、
中途半端なところでニコニコしてないで、
せめて村相撲ではケツの穴を縮めて優勝する、
みたいなことをしてほしいですね。