Link: 2007年を斬る: 「働く」って何だっけ? (ニュースを斬る):NBonline(日経ビジネス オンライン).
「2人の石切り職人」という寓話があります。旅人がある町を通りかかったら新しい教会が建設されているところだった。建設現場では2人の石切り職人が働いていた。旅人が1人の石切り職人に聞いた。「あなたは何をやっているんですか」。すると、「俺はこのいまいましい石を切るために悪戦苦闘しているんだよ」という答えが返ってきた。もう1人の石切り職人に同じことを聞くと、2人目の男は目を輝かせてこう言った。「私は人々の心の安らぎの場となる素晴らしい教会を作っているんです」。つまり同じ仕事をしていても、その彼方に何を見ているかが全然違うわけです。
<り>
日本は高齢化社会だから大変だ、お先真っ暗だって言うでしょ。逆なんですよ。世界一の健康長寿国で、世界第2位の経済大国で、科学技術が最先端で、高学歴社会で、こんな豊かな国は世界中どこを探してもほかにないんです。だから、世界のモデルケースになるような素晴らしい高齢化社会の模範を作ろうと言ってほしいんですよ。
<り>
政治家でも官僚でも経営者でも、リーダーの究極の役割というのは、どんな厳しい状況でも光を見つけて、それを語るということなんじゃないですか。物事をポジティブにとらえられるかどうかです。高齢化社会の負の側面を軽視しているわけではありません。難題山積です。でも「2人の石切り職人」の寓話のように、とらえ方によって全く違う見え方になってくる。
<り>
これからは「知識社会」だと言われますが、これは知識が価値を失う社会なのです。つまり、言葉で表せるような知識は誰でも手に入れられるようになる。インターネットで検索できる、電子辞書には100冊分もの辞書が入っている。知識がコモディティー化して、逆に価値を失ってしまうのです。これからは言葉にならない知恵、マインド、人間力という方向に進んでいきます。