Link: ゲーム音楽界のカリスマ任天堂の近藤浩治氏のGDC初講演に、会場はスタンディングオベーション / ファミ通.com.
そして、3つめの"インタラクティブ性"こそ、近藤氏が最重要と考えているポイント。
「ゲームがほかのメディアと違うのはリアルタイムに反応がある点で、このインタラクティブ性を活かしたサウンドのアイデアを盛り込むことが、いちばん大事だと考えています。たとえばファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』では、残り時間が短くなると曲のテンポが速くなりますが、これはゲーム音楽というメディアだからこそ可能なアイデアですね」(近藤)
そのほかにも、プレイヤーの状況によって音楽が変化する例として、「プレイヤーがいる場所によって演奏される楽器編成を変える」、「サラウンド機能を利用して、目標がいる方向から曲が流れてくる」といった氏が過去の作品で実践したユニークなアイデアをつぎつぎと披露。「曲のフレーズがランダムに変わる」というアイデアを盛り込んだニンテンドウ64版『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の例では、実際に変化していくハイラル平原の曲を聞き比べた参加者から、思わず感嘆の声がもれていた。その曲は「広大なフィールドで何時間も聞く曲なので、飽きのこないようにしたかった」との配慮から、8小節12パターンのメロディーがランダムに変わっていく構成になっているとのこと。同時に、戦闘時は激しく、立ち止まっているときは穏やかに曲を変化させていくことで、フィールド曲としての統一感を保ちながら、戦いの緊張感や休息のやすらぎ感を表現したとのことだ。
まとめとして近藤氏は、「ゲームというメディアは、CDや映画などのメディアとは違って、リアルタイムにインタラクティブな変化ができる点が本当におもしろい」と述べ、インタラクティブな変化を取り入れる利点として、「飽きのこないように、同じ音楽でもプレイするたびに変化するような曲を作ることができる」、「同じ曲内で曲想が変わることによって、多彩な演出ができる」、「曲の変化により新しい驚きを与えて、ゲームをより楽しく遊んでもらう」、「音楽側のアプローチにより、ゲームの楽しみを増やせる」の4点を挙げた。