Link: 第10回 諸外国はデザインの推進に力を入れているのに…:経営を伸ばす視覚伝達デザインの鉄則:ITpro.
中国では「デザインは新資源である」という言い方で,デザイン教育に力を入れ出しました。中国の工業デザインといえば,今はまだ日本のクルマそっくりさんのデザインが少なくありませんが,これは高度経済成長期の日本も同じことを言われていましたよね。そんな中国の多くの大学が,デザイン課程の設置を進めており,今も増え続けているとのことで,デザイナーの養成機関はなんと1000を越すそうです。入学希望者も多く,競争率も80倍から100倍とのこと。日本の4年生私立大学は,約40%が定員割れをしているというのに! 人口が多い国とはいえ,すさまじい勢いを感じませんか。
韓国では1年で約4.5万人のデザイナーの卵が生まれ(日本は約2万人),また,国際的なビジネス展開を視野に入れた英語によるデザイン教育が行われています。サムスン電子は経営者によるデザイン至上主義政策と,デザイナーを470人も大量雇用(日本最大の松下電器産業は450人)してブランドイメージがソニーに追いつきそうな勢いで伸びています。
台湾にいたっては「もうモノ作りでは食べていけない」ということで,今後は三つの分野に特化することで世界市場で生き残って行く戦略が立てられたそうです。第1にデザイン,第2にマネージメント,第3には金融であるとのこと。ものつくりでは,日本はアジア諸国に追い越されるのも時間の問題だというのに。
イギリスでは「クリエイティブ産業」を基幹産業の一つとして戦略的に強化しているのが話題になりました。11のセクターで構成されており,デザイン,広告,ソフト・ゲーム,音楽,映画などの現代的なものと,芸術,アンティーク,伝統工芸など,伝統的なものとを区別せずに,同じコンテンツとして考えており,その育成に政府が国のプロジェクトとして,お金と人材をつぎ込んでいます。英国大使館のHPによりますと,2007年ではクリエイティブ産業は, GDPの8%以上を占めるに至り,雇用人数は180万人を上回ります。また,同産業部門は,英国経済全体の二倍以上の成長率だそうです。
イタリアは,デザインの重要性の認識を持った中小企業の経営者が多く,さすがデザインの国ですね。ドイツはデザインの教育機関「バウハウス」発祥の地であり,デザインの素地ができあがっている文化があります。政府は中小企業に対してデザインの導入が盛んで,EUの基金を用い地域中小企業向けのデザイン拠点を整備しています。