【TRP2015】昨日は、代々木公園で開催された「東京レインボープライド2015」に参加してきました。LGBTへの理解を呼びかけるパレードにも、昨年、一昨年に続いての参加。当事者や支援者の方々とともに、渋谷のまちをとびっきりの笑顔で歩いてき...

Posted by 乙武 洋匡 on 2015年4月26日

April 27, 2015 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

ITmedia エンタープライズ:多様化するブログ、Movable Typeにはどのような未来が――シックス・アパート (1/3)

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July 16, 2005 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

第一部終了

こんにちは、百合原つぐみです。
とりあえず薔薇篇と百合篇はここで終わり、です。
まったく感想がないのがちょっとコワイのですが。。よろしければこの記事にでも、みなさまのご意見をいただければ!と思います。
この後は、季節を夏に移して向日葵篇をやってみようかな。と考え中。

August 7, 2004 | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

lily vol.12

「沙耶」
咄嗟に伸ばした腕に、一瞬遅れて沙耶の指が届く。
絡ませた指は二人分の体重を支えきれず、もつれるようにぬかるんだ地面に倒れこむ。
脛から伝わる泥の冷たさ。濡れた制服の重み。
見つめ合った顔に散った飛沫。

「もう……どうなってるんでしょう」
くすり、と沙耶が笑った。
「ごめんなさい、支えきれなくて」
「謝らないでください」
不意に沙耶の顔が近づく。吸い込まれそうな黒い瞳に、呆けたような自分の顔が映る。
叩きつけるような雨の中で感じる小さな熱。

(この思いの先にある、未来はどんなものだろう?)
未来などなくてもいい。
明日だって来なくていい。
沙耶の髪に頬を寄せると、雨の匂いに混じって微かに花の香りがした。

「……制服、クリーニングに出さないと駄目ね」
「弓道部に余分なジャージ置いてありますけど、繭先輩も着ませんか?」
「え、ほんと?急いで行こ」
走り出す沙耶の後姿を追いながら、私はぎゅっと目蓋を閉じた。
心の中の印画紙に、永遠に焼き付けるように。

August 7, 2004 in lily_百合編 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

rose vol.12

振り向くと、悪戯っぽい目でケイがこちらを見ていた。
「バカ、そんなソファじゃ二人寝られねーよ」
「僕は狭くないです……ナオさんとなら」
軽い眩暈を感じて俺は額に手を当てた。
「ケイ……お前……」
知らず知らずこぼれる笑みと、足の震えを押し隠すように、乱暴にソファに近づく。

二人分の体重を預けると、古いソファは軋んだ音を立てた。
まだ冷たい肌に掌を滑らせると、ケイはくすぐったそうに身を縮める。
湿った髪を指でかき上げ、唇に軽く触れると、仄かに紅茶の香りがした。

今まで見たことがないケイの表情。それを知ったからといって、ケイのすべてがわかるわけではない。けれども。それでも。
「ナオ……さん」
繰り返し訪れる暴力的な熱の波に、甘い吐息も、苦い記憶もすべて押し流されていく。

(俺はケイを見つけることができたのだろうか?)
(そんなことは、もういい)
確証など、どこにもない。ただ、今、目の前のケイの身体を抱きしめることができれば、それだけでいい。

「……コンポート」
「ん?」
「今度、持ってきますね」
眠りに落ちる前、ケイが思い出したように呟いた。

ソファから見上げると、汚れたガラス越しに朝の光が射し込み、研究室の天井に複雑な模様を描き出している。
急激な眠気に襲われ、俺の意識はまどろみの中へと静かに遠のいていった。

August 7, 2004 in rose_薔薇編 | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)

lily vol.11

影のような紺色の制服。沙耶の後姿を追って、校舎の裏手の道を駆ける。
見覚えのある細い小道。
足元に落ちる弓道の矢。慌てた沙耶の、額の汗の輝き。
そんな光景が、一瞬で脳裏に甦り、すぐに消えた。
だんだんと激しくなる雨が作った泥濘で、白い上履きが汚れていくのも、意識の内に入らない。

裏庭に入ったところで、沙耶の腕に手が届いた。
「小田桐さん」
手首を掴むと、沙耶は観念したように歩調を緩めた。
「どうして……あんなことをしたんですか」
ぽつりと呟くと、沙耶は俯いていた顔を上げ、もう一度思い切ったように口を開いた。
「私は……繭先輩の何なんですか!」
沙耶の長い髪が、雨に濡れて普段と違うシルエットを形作っている。水滴が滑らかな頬を伝い、細い顎で雫になって、襟元にこぼれ落ちた。

「ごめんなさい……私にもまだよくわからない」
定義する前から、崩れてしまいそうな思い。
それでも、確かなのはその存在の重さで。
「小田桐さんのこと、まだ何も知らない。共通点だってない。でも、貴女は私にとって特別なの」
「繭先輩」
狼狽したかのように後退りした沙耶が、泥濘に足を取られて蹈鞴を踏む。
「ひゃっ」

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rose vol.11

濡れたシャツを肩から落とすと、ケイは少し身体を震わせた。
「やっぱ……寒いですね」
「冷たい服着てるよりマシだろ」
スチール棚に積み重ねられたダンボールからグレーの作業着を見つけると、ソファに座るケイの頭に放ってやる。ついでに淹れなおした紅茶のカップを手渡すと、ケイはほっとした表情で受け取った。
「少し、眠くなりますね」
「そのソファで寝たら。まだ皆が来るにはだいぶ時間が早いし」
「そうします」

ソファに横になると、暫くしてケイが口を開いた。
「ナオさんは寝ないんですか」
「俺は……机で寝るよ。ちょっと痛そうだけど」
本棚から枕になりそうな辞書を物色するが、なかなか手ごろなものが見つからない。
「そんなとこじゃ、寒いですよ」
「大丈夫、大丈夫。鍛えてるから」
「僕が……寒いんです」

August 7, 2004 in rose_薔薇編 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

lily vol.10

部室を出て、夕方の空を見上げると、今にも降り出しそうなグレーの雲が立ち込めている。
(未来のない関係……か)
この思いの先にある、未来はどんなものだろう?

置き傘を取りにいこうと教室に向かう途中、渡り廊下の向こうに沙耶が歩いているのが目に入った。考え事でもしているのだろうか、視線は床に落ち、足の運びもゆっくりとしている。
「小田桐さん」
呼びかけると、沙耶はこちらを振り向き、こぼれそうなほど目を見開いた。
「近づかないでください」
叫ぶように言い捨てると階段を駆け下りる後姿を、無意識のうちに追いかけていた。

がらんとした教室の前を。錆付いたロッカーの横を。埃っぽい昇降口を、上履きのままで駆け出していく。校舎の外に走り出ると、ぱらぱらと振り出した雨が首の後ろに落ちて、制服の下に冷たい筋を作った。

August 2, 2004 in lily_百合編 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

rose vol.10

錆びたワゴンに載せたポットが、電子音で沸騰を知らせる。
午前3時。ケイからの連絡はない。
引き出しから紅茶の缶を取り出すと蓋を開けた。ふわりと薔薇にも似た香りが広がる。

(あ、俺コーヒーだめ。紅茶にしてくれる?)
(意外と可愛いところ、あるんですね)
いつかの朝の光景が脳裏に甦る。
まるで違う世界のように。
「ケイ」
俺は彼の何をわかっていたのだろう?

雨音の合間から、砂利を踏む音が微かに聞こえ、扉が向こうから引き開けられる。
「ナオさん……待っててくれたんですね」
白みかけた空が、ケイの顔をぼんやりと照らし出す。濡れたシャツと、雫の落ちる髪と、少し腫れた頬と。
何も言わず抱きしめると、少し遅れて腕が背中に回される。
「心配かけて、本当にすみませんでした」
伝えたいことはいくつもあったはずなのに、言葉にならない。

「……ナオさん、紅茶の匂いがします」
耳元でケイが呟いた。

August 2, 2004 in rose_薔薇編 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

lily vol.9

部室の机に現像し終わった写真を並べる。部室に併設されている暗室は、狭いけれどもけっこう役に立つ。
軽く部室の扉を叩く音がして、亜紀がガラス窓から顔を覗かせた。
「繭、何かネタない、ネタ。部誌の締切が明日でさ、すっかり忘れてたんだよねー……ってそれ何?新しい写真?」
止める間もなく、扉を開けると机に近づき、しげしげと写真を眺めはじめる。
「また校舎の壁とかつまんない写真かと思ったら、珍しいじゃん、繭が人間撮るなんて」
「たまにはね……何事も勉強です」
面白そうに何枚かの写真を見比べているうちに、亜紀の表情が少し曇った。
「繭さ、この娘のこと、どう思ってんの?」

「なんで?」
部室の棚からファイルを取り出そうとしても、指が震えて目標に届かない。
「うーん。なんでだろう。明らかに視線が違うんだよね」
撮ってる人の。撮られてる人の。
「悪いことは言わないから、やめといた方がいいよ。もし繭がこの娘に特別な感情をもっているなら」

甦るのは、目を閉じても降り積もる、白い桜の花弁。
身体を起こすと、振り返ることなく走り去っていく沙耶の後姿。

「そんなこと……ないよ」
「ならいいけど、繭ってなんかひとつに集中すると、周りが見えなくなるタイプだから。気になっちゃって」

あはは、と無理に笑ってみせると、つられて亜紀も少し笑った。
「BL好きの亜紀にそんなこと言われるとは思わなかったな」
「あーっ。BL好きを甘くみるなよ!言っとくけど、未来のない関係ほど、不思議に美しいものなんだから」

July 31, 2004 in lily_百合編 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)